ホームに降り立ち空を見上げる。
くすんだ赤い橋と古い駅舎が目に入る。
東西を結ぶ線路の北の一車線の道は、
古(いにしえ)には「山陽街道」と呼ばれ
南には旧国道2号線が走る。
古に目を向ければ、道のむこうに看板だけが目立つ。
扉を閉めた店店の残り香が、山に阻まれ僅かに香る。
南はと見直せば、国道迄の間建物らしい建物はない。
名ばかりの駅前広場には、
溢れんばかりの自転車置き場が広がる。
この駅の立ち位置は、廻りに拡がった家々から
、地方都市に通うための単なる通過点のようだ。
頂上駅の駅舎に登り南へと歩みを進める。
国道かかる歩道橋を渡りきると、ここからは下り坂だ。
あるのは数店の銀行の支店と駐車場だ。
目を引くべきものはなし。。。
足早に進める刹那の隙間に、小さな別世界を見つけた。
僅かに残る雑木林の紅葉。
落ち葉を敷き詰めた坂道。
路傍の石仏に導かれ、この地へ至る。
さぶれた街の小さな坂道が
ここに残る事を祈る。